On The Wire

アサンジやスノーデンの活躍でわかったことは、world on the wireの表と裏であった。スマホの通話は盗聴され、GPSで位置情報は、水もれ状態、監視カメラがあちらこちらに設置され、顔認識で社会番号から年収までデータが読まれている。テロリスト容疑者だけの話ではない。一般市民も政府は監視していた。そして、アサンジは逮捕され、スノーデンは亡命した。

「あなたは監視されている」

個人情報は、警察とつながり、病院とつながり、権力者とつながっているのだ。知らないうちに、権力者と一般市民はスマトモだ。ジョージ・オーウェルの「1984年」の世界が、現実になろうとしている。ソ連時代、東欧圏の人たちは、川沿いに手作りの別荘をつくったが、そこだけがoff-wireの世界、秘密警察から逃れる場所であった。

「いったい、俺を売ったのは誰だったのか」

東西の壁がなくなって、情報公開されたとき、知った恐ろしい現実。妻や子供が、夫や父親を当局に、政治犯として訴えていたことが、つぎつぎに判明した。裏切り者は、いちばん身近なところにいた。愛する者に裏切られたことに、人間不信が渦巻いた。これが、東西の壁が破壊されたあとの、東欧圏の現実であった。こういう体験をすれば、まして、他人との信頼など、ありえない、と考えたくもなる。いま米国で、個人情報を削除する、off the wireのサービスが繁盛しはじめている。